Los amigos

September 24,2020

昔の人曰く、『年をとると本当の友達がわかってくる』という。 そんなのわかりたくもない、というのが下村晴良の実感だった。 それはつまりこういうことだろうと、彼は思っていた。若い時代には比較的多くの出会いがあるものの、歳月にもまれ、世間にもまれ、個々人の事情にもまれてもなお、互いに連絡を取り合える相手はごく少数である、と。 そんなのはただの一般論にすぎず、余計なお世話だと言い返したくもなるものだった。 日本を出て、スペインの片田舎に出てきて、連絡を取り合える『友達』など一握りである。 走っても走っても走り続けるようなレッスンに追われる日々は充実していたし、同じ学び舎で音楽に燃える学友たちの存在は熱かったが、少し気が抜けると、孤独感が襲ってくる。 まるで世界にひとりきりで、しゃかりきになっているような気がした。 「だからさ、エンリーケには本当に感謝してるんだよ」 『それはさておき、もう少し英語が