3/27に発売された、「少女小説とSF」(星海社)に参加させていただいております。 SF世界のレジェンドのような先生方の中にまじらせていただいて、今でも「これは夢じゃないか……!?」という気持ちのままです。本当に私がここにまじっていいんですか……?! 愛らしくも力強い瞳をもつ「少女」の挿画は、orie先生のものです。 辻村七子は『或る恋人たちの話』という、18世紀くらいのフランスが舞台のスチームパンク身体改造系SFを書きました。ご縁があったらよろしくお願いいたします。 また、4/27~28の二日間、代官山蔦屋(ツタヤ)書店で開催される『SFカーニバル』に、今年も参加させていただきます。サイン会もあるので、お近くにお住まいの方は遊びに来てみてください。SF作家があちこちから集まってきて、みんなでワイワイやっている春の催し、きっと楽しいですよ!
ごぶさたしております、辻村です。 本年一発目のblogおしらせがこれで恐縮なのですが、テーブルトークRPGのシナリオを趣味で書いてみました。お好きな方はプレイしてみてください。boothという場所を借りて、無料で配布しています。 https://booth.pm/ja/items/5590542 ※TRPGシナリオの特性上、オチまで全部のことが書いてあります。もし「自分はゲームマスターはしないと思うけれど友達がしてくれそう」という方は、シナリオの通読=ネタバレにご注意ください。 今年は5月の文学フリマ(東京)にも参加する予定で、今から同人誌を二冊、モリモリ作っています。一冊は「作家になったらどうなるか」という自分の過去の体験談を、何かの役に立つかも……という形で編集部や印税の話とともにまとめたもので、もう一冊はかきおろしの短編集(舞台は全部現代日本)です。 上述
その人を美しいと思う。 それは当たり前のことだった。 空が青いように、鳥がさえずるように、人々は口々に言った。 美しい――と。 半面、ティモシーは人々がこう口にするのもよく耳にしていた。 かわいそうに、あんなに人並外れて美しいと、いわゆる『人並みの幸せ』は手に入らないだろうね――と。 幼かったティモシーには、それがどういう意味なのかわからなかった。おじいちゃまやおばあちゃまに連れて行ってもらうよそのお屋敷のパーティに佇んでいる、お人形のように美しい同世代の男の子が、『幸せになれないね』なんて言われるのを可哀そうだと思いながら聞いていた。とはいえそんな特別な男の子と、特に親しいかったわけでもない。「そんなこと言うものじゃないですよ」等と言い返す義理も度胸も、ティモシーにはなかった。 時は流れ、ティモシーはおじいちゃまから爵位をつぐことになった。おとう
※おことわり※ 以下のSSは、辻村七子の誕生日を自分で祝うための「面白いことがしたいな!」という気分に基づくSSです。続き物です。(1)からお読みください。またとてもふざけています。何を読んでも笑って流していただければ幸いです。また本作のパロディもとになっている何らかのゲーム作品と辻村とは、一切合切なんの関係もございません。ご承知おきください。 ———— りちゃぽんはせいぎくんの手をとり、再び雲の中にとびこみました。 きっとこんな風に飛ぶのは最後だとわかっているのか、りちゃぽんは小さな手でせいぎくんの手をぎゅっとにぎっていました。 そして。 「ぽにおー!」 『つきましたよ』とりちゃぽんは言いました。 途端に視界が開けます。 せいぎくんは息をのみました。 眼下に見えてきたのは、大きな夜の公園でした。 そこらじゅうに広
※おことわり※ 以下のSSは、辻村七子の誕生日を自分で祝うための「面白いことがしたいな!」という気分に基づくSSです。続き物です。(1)からお読みください。またとてもふざけています。何を読んでも笑って流していただければ幸いです。また本作のパロディもとになっている何らかのゲーム作品と辻村とは、一切合切なんの関係もございません。ご承知おきください。 ————————————– りちゃぽんはその後、さいごの仮面をてにいれました。 それはガラスでできた、とうめいな仮面でした。あまりにとうめいなので、持っているのかいないのか、よくよく目をこらさなければわからないほどです。 せいぎくんはみけん
※おことわり※ 以下のSSは、辻村七子の誕生日を自分で祝うための「面白いことがしたいな!」という気分に基づくSSです。続き物です。(1)からお読みください。またとてもふざけています。何を読んでもワハハと笑って流していただければ幸いです。また本作のパロディもとになっている何らかのゲーム作品と辻村とは、一切合切なんの関係もございません。ご承知おきください。 りちゃぽんは次々に美しい仮面を見つけました。 にまいめの仮面は、金髪の男の子がお父さんとお母さんのけんかを見ているところにありました。男の子の両親は、どちらが自分の子どもをひきとるかではなく「引き取らせるか」でもめていて、男の子はただ呆れたように二人の大人を眺めていました。せいぎくんは胸がきゅっとなりましたが、いつの間にかりちゃぽんの手の中にあった仮面は、雪のようにキラキラと輝く、びっ
※おことわり※ 以下のSSは、辻村七子の誕生日を自分で祝うための「面白いことがしたいな!」という気分に基づくSS、その2です。(1)から続いています。内容はとてもふざけています。何を読んでもワハハと笑って流していただければ幸いです。また言うまでもありませんが、本作のもとになっている何らかのゲーム作品と辻村とは、一切合切なんの関係もございません。ご承知おきくださいませ。 ———– せいぎくんとりちゃぽんは、手をつないで雲の中をとんでゆきました。 きらきら輝く雲は、おかしなことにどこまで飛んでも切れ目なくつづいています。そして空の上だというのに、せいぎくんは少しも寒くありませんでした。 「りちゃぽん! どこまで行くんだ!」 「ぽにっ、ぽにーっ!」 『それほど遠くではありませんよ』とりちゃぽん
※おことわり※ 以下のSSは、辻村七子の誕生日を自分で祝うための「面白いことがしたいな!」という気分に基づくSSです。とてもふざけています。何を読んでもワハハと笑って流していただければ幸いです。また言うまでもありませんが、本作のもとになっている何らかのゲーム作品と辻村とは、一切合切なんの関係もございません。ご承知おきくださいませ。 ——————— 昔々あるところに、なかたせいぎくんという男の子が住んでいました。 そんなにむかしのことでもないようです。 せいぎくんは心やさしい男の子でしたが、ちょっとおっちょこちょいなところがありました。 ある日、小学校から帰ってくる途中、せいぎくんはふしぎな生き物を見つけました。 ちょうどせいぎくんの腰のあたりまでくらいの背丈の、緑色のフードをかぶ
世の中には二種類の人間がいる。品定めを『する』側と、『される』側である。 その極致がこの場所なのかもしれないと、十八歳のジェフリー・クレアモントは理解していた。 「まあ素敵なお召し物。次代をになう坊ちゃまがご立派で、お父さまもさぞかし鼻が高いでしょうね」 「ありがとうございます、メアリー夫人。ですが自分は次男ですので」 「本当にねえ。こんなことは言わない方がいいのかもしれませんけれど、お兄さまとあなたが逆でしたらよかったのに」 言わない方がいいかもと思ったなら言うなよ、と思いつつ、クレアモント伯爵家の次男は礼儀正しい笑みを浮かべ続けた。メアリー夫人は近隣の侯爵家の先代当主の夫人で、御年は八十に近い。何を言われても目くじらを立てるべきではなかった。 六月のイギリスを代表する風物詩、ロイヤル・アスコット。 アスコット競馬場と呼ばれるロンドン郊外の場所で開催されるのは、王族主催の華やかな競馬だっ
花の中で眠っていた。 目が覚めた時まず、えっどうした、と思った。頭の上で花が咲いているのだ。赤とオレンジのあいだくらいの淡い色合いの花。コクリコだろう。ベッドやソファでうたたねした時とはまるで視界が違う。花の上には空が広がっている。明らかに屋外だ。 そして。 「おはようございます」 リチャード。 空と、花と、リチャード。 何だかポエティックだなあと思いながら、わけのわからないまま目を擦り、上半身を起こすと、頭の上から葉っぱが落ちた。 庭園と池。太鼓橋。ああ。 「ヘンリーさんの新しい家……だっけ」 「その通りです」 「コンセプトが印象派で、ええと、ここは」 「ジヴェルニー」 「ってことは、フランス」 「ウィ」 その通りです、とリチャードが答える。徐々に状況理解が現実に追い付いてきた。 俺とリチャードは一週間前からヨーロッパ大陸に来ている。ミュンヘンでのミネラルショーに参加するためだ。ミュンヘ
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