宝石商アニメ 12/7先行上映会ルポ

December 8,2019

先行上映会ルポ

きたる2019年12月7日。
東京都、新小岩駅から徒歩二十分のホールで、催事が行われていました。

「宝石商リチャード氏の謎鑑定 先行上映会 エトランジェへようこそ」

2020年1月9日から、tokyo MX, AT-X, wowowほかで放送・配信される新作アニメが、
どどーんと
1~3話まで見られるという催しです!

申し遅れましたが私は、原作・集英社オレンジ文庫から発行されている
小説「宝石商リチャード氏の謎鑑定」の作者、辻村七子です。

宝石商のお話は、ざっくりいうと
銀座を舞台に、絶世の美貌の持ち主リチャード氏の宝石店「エトランジェ」で
アルバイトをつとめる中田正義くんを主人公に
彼らふたりを取り巻く人々や世界の姿を
ルビーやオパールなど、さまざまな宝石を通して描いたヒューマンドラマです。

本作はBプロや魔界王子でおなじみ雪広うたこ先生の挿画によって彩られ
2019年12月現在、月刊ゼロサムという雑誌で、あかつき三日先生の手によってコミカライズ・好評連載されています。あかつき先生毎月楽しみにしています!! 先日のサイン会にはお花をありがとうございました! ピンクのガーベラがいっぱいでとっても可愛くてきれいでした!(私信)

先行上映会は
午後の部・夜の部という二回あり(どちらも1~3話まで流れます)
そこに声優さんのトークショーがつくという内容です。

ご出演くださったのは
櫻井孝宏さんと、内田雄馬さんのお二人に、司会の鷲崎さんです。

櫻井さんと内田さん。
このお二人の名前のうしろにつくキャリアだけで、今まで私が書いてきたblogの記事の何倍もの記事が埋まってしまうような、大大大スターのおふたりです……!
お忙しい中、寸暇を縫ってのご登壇、本当にありがとうございました。

辻村は午後の部にこっそりお邪魔して
楽屋のほうから入って客席にお邪魔して、アニメを見て帰るという段取りだったのですが
その際になんと
「宝石商リチャード氏の謎鑑定 公式ファンブック エトランジェの宝石箱」のお料理監修をしてくださったKさんが、「よろしければこれを……」と差し入れを持ってきてくださいました。

ワタラッパン!!
可愛い形の器に入ったワタラッパンだ!!!!
それもふたつ、スプーンもある!

このイベントには、嬉しいことに挿画の雪広うたこ先生もご参加くださっていて、二人で談話していたところだったので
ありがたく二人で一つずついただきました。
いつも優しいKさん、本当にありがとうございました……!

(まだレシピは公開されていませんが、スパイスのパウダーもはいった、ココナッツミルクのやさしいスリランカ・プディング、とても心のこもった味がしました。そのうちこれを読んでいる方にも、作って試していただける機会がありますように……)

そしてイベントが開始される前。
関係者特権で、声優さんのお二人にご挨拶をさせていただきました。
おふたりとも、まるで宝石店にゆくような
シックで上品な出で立ちで、とても格好良かったです。
申し上げられるだけの全ての御礼を申し上げて、九月からの宿題を果たして、
その流れで、関係者席に着席しました。

音楽公演で有名なホールらしく、赤いシートがおしゃれで、
舞台の上にはスクリーンのまわりに、いろいろな色に輝く
LEDの滝のような照明が設えられていて、
とても優雅な雰囲気です。

アニメが始まる前に、声優さんのお二人のトークがあったのですが
二人ともとても多芸多才で、
面白いお話ばかりで
寒いはずのホールがあっというまに温まって
みんなでわははと笑っていたのを覚えています。

また、「インスピレーションで選ぶ宝石テスト」では、
内田さんがタンザナイト、櫻井さんがパールを選び(鷲崎さんはエメラルド)、
本物の石ではなく画像を通してのインスピレーションだとしても、
それぞれが大事にしていらっしゃると語ってくださったことに
通じるようなものを、それぞれの石から感じました。
あまりにもしっくりくるゆえに、「タンザナイトってウチダナイトじゃないの?! ウチダのあとに生まれた石なんじゃないの!?」という言葉が出てきて大笑いしましたが
タンザナイトは60年代にティファニーによって名付けられた石のはずなので
内田さんのお父さまか、おじいさまくらいの年齢かもしれません。
石としては、とてもとても、若い名前だと思います。

そして二つの答えから、なんとなく、
この前銀座を歩いていた時に、たしかブルガリかどこかのウィンドウで見た
パールとタンザナイト、あるいはサファイア等を大胆に組み合わせたジュエリーを
想像するなどしました。

パールはそれだけで主役にして脇役になってしまう存在感のある生体鉱物だと思いますが
それにあえて、いわゆる「宝石」といって想像するような石を加えて
地金にも気を使ってセッティングすると、
とっても美しく、かつスタイリッシュな佇まいのジュエリーになるのですよね。
酸いも甘いも、苦いも辛いも、さまざまな深さであちこちに転がっている、
『今』という時代に、
ぴったりの取り合わせだと思います。

肝心のアニメの感想ですが
放送まであと一か月ある時点で、具体的なことを書くとネタバレもネタバレになってしまうのですが、
ネタバレにならない範囲で私が嬉しかったところを列挙いたします。
少しでもイベントの雰囲気や、アニメの空気感を味わうご一助になりますように。
(だいぶ取り乱しておりますが、辻村は平常運転でだいぶ取り乱している人間ですので、どうぞ悪しからずご了承ください)

・アニメだ
・アニメになってる
・これはアニメですか? はいアニメです
・うわーーーーー

・音楽がすてき
・メロディアスな旋律
・とても素敵で、もうサントラがほしいです
・サントラを発売してください
・お願いします
・心からお願いします

・そしておそらく、私と監督さんと、音楽を作ってくださった戸田さんくらいにしかわからない話だとは思いますが、アニメが始まる前の段階から、もう、音の伏線が張られていた
・ここにお越しになっていた方で、将来的にお気づきになる方はいらっしゃるだろうか……

・それはともかく画面です
・アニメです
・宝石商リチャード氏の謎鑑定、第一巻の物語が
・アニメになって動いています。

・うおお……

・中田正義くんが、喋っている
・そのご家族が、喋っている
・あっ、こんなシーンは原作にはなかったけれど、このあとにくるシーンのことを考えると、いろいろな伏線に思いを巡らせることができてとてもすてき!
・背景がすごい
・いろいろな人がひとつの画面の中にいるし背景はきれいだしで画面の情報量が多い
・二人の出会いは春

・優雅なる宝石商、登場

・ああっ(感嘆)
・美しい
・だめだ心不全になる
・こんな人に東京のど真ん中で出会ったらまず怖い
・臨死体験かなと思う
・アニメになるとそういう臨場感が文字よりも増しますね
(背景もきれいに描き込まれているので、リアリティがすごいです)
・オーマイグッドネス
・油田を献上したい
・ああっ(嘆息)
・ううっ(心不全)
・美しい
・献上するためにはまずは油田を掘り当てないといけない

・画面が発散する「この国、この場所に、最初から存在したわけではない、美しい人」という説得力
・その隣にたつ、通りすがりの男の子
・こういうお話だな……! と握りこぶしを造りました

・そして
・二人が会話した……
・もう本当に背景がすごい
・実写ドラマではないのに、ああここはと思ってしまうような場所がたくさんある
・それも全部私の大切な場所ばかりだ…
 (それはそうだ自分で書いた小説の内容なんだから…)

・この前の新規キャラクター紹介に登場した、下村くんと谷本さん
・彼らも登場します
・下村くん、可愛い! クールでキュートな都会派という感じです
・谷本さん、かっ…………可愛い!(踊るような声で)
・とても可愛いです
・でも彼女は可愛いだけの人ではないのです……
・きっとそのうちそれも披露してくださるんじゃないかな
・ご期待ください

・笠羽大学の風景
・リチャード氏と正義くんが話していた喫茶店
・銀座の街並み
・彼らが訪れる街の佇まい
・花々
・緑
・都市の空気

・どこを見ても情報がみっしり詰まっていて、頭の中で補完する「空白」なんてどこにもない

・当然だよアニメの画像が白い紙になってしまったらそれは『新世紀エヴァンゲリオン』の最終回だよ……!(あれはそういう映像に意図がある演出でした)

・そしてそれが、アニメという媒体と、小説の、一番の違いで

・そういう、本の中をどう探しても、模写するものがない情報を
・たくさんの人の手が、テレビで放送できる新しい『情報のかたまり』として
・織りあげ、創り上げてくださったことが
・心から嬉しいです

・原作は私の書いた小説だけど、私は一枚も絵を描いていない
・不思議です
・私の知っている世界だけど、私はこのアニメを知らなかった
・まるでバレーボールをしているうち、レシーブを一度するごとに、ボールがどんどん変わってゆくみたいです
・黄色いボールが水色のボールに
・水色のボールが、淡く輝く白いボールに
・淡く輝く白いボールが、深海のような色を湛えた青いボールに
・そんなふうに次々に
・たぶんそれは、レシーブを、パスをすることによって、
・「レシーブした人」という名前の情報のフィルターを、ボールが経てゆくからですね

・そういう形で、どんどん、どんどん
・次から次へと
・さまざまな人たちが
・このアニメーションに携わって
・ひとつの作品を作り上げてくださったのだなあと思ったら
・泣けてきました

・ありがとうございます

・三話までで作者ボロ泣きです。思い出し泣きもしています。

・本当にありがとうございます

・それから監督さんの、密かな試みである、まだ3話まででは回収されていない伏線が、銀の糸のようにあちこちに美しく巡らせてあるのもわかります

・このあとが楽しみ!

・とても楽しみです!

・だってそういう作りになっているから!

・これこそ今語るとネタバレになるのですが、今現在公開されている情報では、どうあっても回収されていないいろいろなエモい演出がこのアニメには隠れているので
・どうぞ辻村と一緒に楽しんでください

言い忘れましたが私はアニメ「宝石商リチャード氏の謎鑑定」が大好きです。
大好きです。
最後まで一緒に見てもらえた時に「あそこがああで」「ここはあの話まで見るとね」等、いろいろな話ができるのが、はらわたの底から楽しみです。
でも言えないんだよ……!
ネタバレになるから……!!

益体もなく、とても長い記事になりましたが、大丈夫だったでしょうか。
こんな感じで「とてもすごかった」「うれしかった」「ワタラッパンおいしかった」「櫻井孝宏さんも内田雄馬さんもとても細くて、顔が小さくて、面白い人たちだった」というくらいのことしか語っておりませんが、ああこの人はイベントをとても楽しんでいたんだなあと、適度に温かい目で見守っていただけたら幸いです。

アニメ「宝石商リチャード氏の謎鑑定」、1月9日より放送開始です。

どうぞよろしくお願いいたします!

監督、そしてこの物語の携わってくださった全ての人に、
これからたくさん、間欠泉のごとくたくさん、いいことばっかりありますように!

そんなルポでございました。

最近とても寒くなってまいりましたが、イベントの日はとても寒かったです。御来場くださった皆さま、本当にありがとうございました。アニメの内容でも泣きましたが、あの場所に宝石商に多少なりともご縁を持ってくださった方々が、あんなにたくさん集ってくださったことも感動的です。
あたたかな冬の思い出を、本当にありがとうございます。

皆さまも温かいお部屋で、ロイヤルミルクティー等お飲みになりながら、どうぞご自愛くださいませ。

それではまた!
小説で、twitterで、あるいはこちらのブログのアニメに関するルポか何かで、お会いできれば光栄です。