アニメルポ5 声優さん決定・アフレコ見学

July 30,2020

今までのあらすじ

何もかもが電脳化されたTOKIO世界の片隅で

ひたすらKYAKUHON作業に励むジュエラーリチャード関係者一同、

終わりなきシシュポス的作業、むせるようなスチーム、現代科学の限界、

それらすべての不条理をのみこみながら

癒しの副社長のいる朱夏見学を経て、

ANIME GOES ONを実感するTSUJIMURA、

そんな中入り込んできたのは、原作者なら一度はあこがれる

電脳ボイス吹込的作業場ビジティング、

すなわちアフレコ見学の話であった………

第五話「蒸気戦士ジュエラー、霧かすむアフレコ見学」

次回もTSUJIMURAにつきあってもらう……

(もう何が何やら)

 

——-

 

アフレコ見学のお話をする前に、

メイン声優さんおふたり決定の部分を書き忘れていました。

 

決定! というお話をいただいたのは、ちょうど朱夏さんに見学に行った折で

アニメになるからには誰かしら声優さんが演じてくださるのだろうと知りつつ

誰になるのかわからずソワソワしていた時でした。

(※今更ですが現段階で書いている事柄は全て、アニメ化決定という発表前のことです)

 

「決まりました。

リチャード役 櫻井孝宏さん、

中田正義役 内田雄馬さん です」

 

と。

 

アニメのプロデューサーさんから聞かされた時の衝撃。

 

なまぬるいアニメファンの私でも名前を知っているお二人。

 

もうどうしたらいいのかわからない。

 

しかも未公開情報だから誰にも言えない。

 

しかしこの喜びをどうしたらいいのか!!!

 

わからない!!!!

 

しかし嬉しい!!!

 

でもどうしようもない!!

 

どうしよう!!

 

そうだこんな時には!!!!

 

実家に連絡だ!!!!!!

(※親兄弟には守秘義務を破っていいということにはなりません。プロデューサーさん、今だから言えるお話です。申し訳ございませんでした。とはいえ絶対に秘密を守るという約束は、当然ながらきちんと果たされました)

 

 

こんな時の強い味方、父!

辻村の本を全て読破してくれている、本当にありがたい存在です。

 

 

「父上」

「何用か」

「宝石商アニメの、主役に声をあててくださる俳優さんが決まりました」

「そうか」

「とてもすごい人です」

「そうか。よかったなあ」

 

しかし辻村のお父さんは、世間一般の話をとてもわかってくれる一方

アニメの話はまったくわからないので

「あのね櫻井孝宏さん&内田雄馬さんになったんだよ」と話しても

それがどういうことなのかはあまり伝わりません。

 

こういう時どうしたら私の喜びを伝えられるだろう!

 

そうだ!

 

AppleMusicに相談だ!(※サブスク)

(※この時辻村は、櫻井さんが内田さんとは違って、あまり歌をうたわない声優さんであることを知りませんでした)

 

 

さくらい、たかひろ……と。

検索すると

 

出た。

 

出ました。

 

 

 

アニメの歌が。

1曲だけ。

 

 

 

どん

 

 

これです。

『超能力者にありがとう』

アニメ モブサイコ100/霊幻新隆(cv 櫻井孝宏)

(2020/7/30現在、AppleMusicのほか、AmazonPrimeでも聞けるようです?)

 

 

父にわかってほしい辻村、おもむろにこの曲を再生します。

櫻井さんが歌っているんだったら

それはもうなんかすごい曲になっているに決まっている。

 

「これを聞けば、凄いことだときっとわかる」

「うむ」

「だから一緒に聴いてほしい」

「わかった」

 

 

誓って言いますが、

その時の辻村は、これがどんな『曲』なのか全く知らなかったんだ……。

 

 

(以下 『超能力者にありがとう』を流しながら、実況的にご覧ください)

 

 

はじまるイントロ……

かっこいい前口上……

 

『世の中には、いまだ……』

 

かっこいい、櫻井さんらしいよ! こういう声なんだよ!

 

あれっ

あれっ

あれっこれ何か路線違うな?

あらっ

あらっ ちょっとこれは

腹筋に力が入る……

というか、おかしくておかしくて、

ちょっと笑ってしまう!

 

超能力者にっ、ありがとう~~?

 

 

あっ二番もある!

 

あっまだマッサージ、違う、除霊が続いてる……

どうなるのかなこれ……

あっ実は本当に……

えっ

えっ

ああー

ああっ、なるほどー、そういう意味か!

 

 

超能力者にっ、ありがとう~~~?

 

 

超能力者にありがとうッ!!!!

 

 

 

真面目にふたりで膝をそろえてスマホを囲んで聞いていたのですが

気付けば笑い転げていました。なんだこれ。

とにもかくにも櫻井さんが凄い。

超能力者にもありがとうだけど、

櫻井孝宏さんにもありがとうな歌(?)でした。

あー、すごかった!

 

ね! 父よ!

 

コミカルな歌だったけれど、声優さんという職業のすごさは伝わったはず! もうこれは話芸だ! ね!

 

そして辻村が感想を求めると、

 

 

父は満足そうな

嬉しそうな

満面の笑顔で、こう言いました。

 

 

 

「うん! いい正義くんだね」

 

 

 

ち、ちがーーーーーーーーーーーう!

 

確かに主役の声のひとだけど、そっちじゃない!

そっちじゃないよ、父さん!

 

 

しかし父はそれ以上つきあってくれず、辻村、釈明の機会を逃しました。

もうどうしようもない……アニメが放映された時に

リチャードの演技をみてもらって

「あれっ、正義くんじゃないね?」と気づいてもらうしかない、

しかしそれにはアニメの放送を待たなければならない、ぬおお! まあ何とかなるか!

 

 

 

と、そんな一幕があった後。

 

素晴らしいしらせを受け取りました。

 

アニメ第一話アフレコにお邪魔できる……と!

 

 

す、すごい!

アフレコといったら、声優さんが絵にあわせて声を吹き込むこと、つまりアニメに命が吹き込まれる現場にお邪魔できるということに!

朱夏さんで見せていただいたパラパラ漫画だけでもすごかったのに

もうあれが、本当に動く絵になっているんだ……!

 

 

全開のワクワクを抱えて、辻村は当日を迎えました。

 

 

一緒におもむくメンバーは、

編集さん(もうほんとうにいつもお世話になっています)

集英社ライツ部門(集英社で扱う作品の権利関係のお仕事をしている部署)の方、

この三名です。

ちなみにライツ部門は就活の時には大人気の部門なのだとか……!

 

そしていよいよアフレコ現場!

でも最初に謝っておきます、ごめんなさい。

あまり、記憶が、ないのです……。

 

なんだかすごいことが起こっていた記憶はあるのですが、

ど、どういうことだったのか

まだよく頭がわかっていないようで…

メモリの呼び出し処理に失敗しているようです… ハビ主任を呼ばにゃ…

 

 

収録現場には、

打ち合わせでお顔を拝見したプロデューサーさんをはじめ

監督、脚本さんエイベックスの方、朱夏の方など、いろいろな方がいらして

スタジオを管理していらっしゃる方、

音響関係の方など、初めてお会いするスタッフの方も控えていました。

 

みんなでこれから決めなければならない脚本の話などをして

待っているうちに

 

さっ  櫻井さん……!

櫻井さん、櫻井さんだ…!

 

えっリチャード氏?

リチャード氏ですね?

リチャード氏になった!

 

うわっ

うわー

うわーうわー

 

あれっ櫻井さんに戻った……?

櫻井さん……?

 

えっ 正義くん?

正義くんかな? 正義くん?

いやいやいや、内田雄馬さんだ…

明るくてさわやかでかっこいい、

歌って踊れる声優の内田雄馬さんだ……!

 

あれっ、でもお話の収録が始まると

ああー

あー

ああー

ああーっ正義くん……!

 

えっガラスのむこうにいるのは正義くんなのかな? いやいやありえない、内田雄馬さんだって…

でもあれは正義くんだった…

 

 

と…

 

とんでもないメタモルフォーシスを見せていただいたのに

目の前にいるのが生身の人間なので

頭が「???」となることばかりでした。

ちょっと何が起こっているのか理解できないレベルの出来事がおこっていたのだと思っていただければたぶんそれで正解です。

 

万事が万事こんな調子で時間が過ぎてゆき…

 

本当にすごいものを見せていただいたという感想だけ

今はここに残させてください。

しかるべきタイミングであたまがいろいろなことを思い出したら

記事を更新する形で

またメモを残させていただこうと思います。

 

一番目新しかったのは

(アニメの好きなオタクであってもよく知らなかったことは、とも言います)

アフレコブースの構造やマイクの設置、音響監督さんたちの仕事ぶりを

間近で拝見できたことで

 

まず、アフレコで声優さんが絵に声を吹き込むということは知っていたのですが

「多分、しゃべりっぱなしじゃないんだろうな、誰かがチェックしてるんだろうな。それでやり直しをしたりしなかったり、調整したりしているんだ…」と

大体それくらいのおぼろげな認識だった役職が

「音響監督」という名前の役職の方であることを知りました。

声優さんのキャスティングに

監督同様、大きくかかわったりすることもある方だそうです。

 

アフレコブースの外にもう一つある、

私や監督や脚本の方が待機しているブースには

音楽のミックスをするのかなというような機材の部屋が広がっていて

その中でオサのように、

ヘッドホンをしながら

「124番、もう一回いきます」

「ノイズ入ったので、100番から110番までもう一回」など

(番号はセリフひとつひとつに振ってある整理番号です)

音響監督の方がばしばし指示をとばしています。

 

声優さんが演技のプロであるなら、

音響監督さんはその演技をアニメという二次元に膠着させるためのプロフェッショナルで

そのために何が必要なのか

何があってはいけないのか

きちんきちんと業務的に判断して、仕事をしている方なんだなと思いました。

 

 

ただやはり、

なんというのか、魔法がかかったような瞬間があって

音響監督さんが

声優さんの演技を見て、

「すごいな……」とぽつりとこぼしたときに私は立ち会っていたのですが

(何かの雑誌の取材でお話したような気がします)

本当に魔法がかかったような瞬間でした。

 

 

 

お世話になった皆さま、本当にありがとうございました。

 

とても素晴らしい体験でした。

 

 

次回!

情報公開期限までの格闘とアニメ放送開始まで!

次回も辻村につきあってください…… むせる……