(ここまでのあらすじ!
俳優の二藤勝と脚本家の鏡谷カイトは、突如ふしぎな世界に迷い込み、「演劇の塔」を上らなければ脱出できないという状況におかれる! ふたりは訝りながらも塔の中に足を踏み入れ、そこで待ち受けていたのは……)
「あっ、司さんじゃないですかー!」
「天王寺さん……」
「おー! 若人二人よ、おひさしぶり。おじさん待ちくたびれちゃったよ」
「ここは何なんですか? どこの局の撮影なんですか?」
「まあそういうことはさておきだ、この塔のルールについて説明するのがおじさんの役目ってわけよ。ってことでこの説明の紙を読みな」
「紙……?」
説明しよう!
この塔は「アクトタワー」と呼ばれています(※浜松に実在するタワーとは関係がありませんが一度展望台に上ってみたいという気持ちはあります)
各階にまちうける「アクター」たちと
即興演劇、通称エチュードを一本完成させなければ
次の階に進むことができません。
挑戦者ふたりが同時にエチュードに臨む必要はなく
適材適所で、片方が「アクター」の素材にあったエチュードのお題を考え
もう片方が「アクター」たちとエチュードに挑むなど、分業をするのもよいでしょう。
一階から最上階までに待ち受ける「アクター」たちと
力を尽くして最上階に待ち受けるお宝をゲットしましょう!
以上です
よろしくお願い申し上げます。
「な、なんか、最後にいきなりバテてる小説家のメールの文末みたいな結びになったな」
「そんなことはいい。アクトタワー? エチュードをしなければ脱出できない?」
「そゆこと。ついでに言うともう引き返すこともできないよ。玄関の扉はしまっちゃってるからね」
「ええー! そうなんですか!? カイト、大丈夫か。お前せまいところ苦手だったよな。調子が悪いなら、そのへんにきっとディレクターさんがいると思うから、話を聞いてもらって」
「なんという企画だ。僕はこういう企画を待っていたんだ」
「えっ」
「えっ」
「二藤勝、これは君という役者を育成するための最適解だ。塔を上るだか何だか知らないが、えんえんと演技の練習を繰り返すことは、君にとってかけがえのない財産となるだろう。そうと決まればこの階の課題を片付けなければ。『アクター』というのは、天王寺さんで間違いないのですか」
「ま、まあ、そうだね。おじさんがこの階のアクターですよ。エチュードのお題は特になし。どんな舞台設定でもいいってさ」
「だそうだ、わかったか勝」
「カイト、お前いつも急にやる気出すよな。まあそういうところがかっこいいんだけどさ! 俺も頑張るぞ」
「その意気やよしだ。まずは小手調べといくか。では勝、天王寺さん、おふたりは――」
to be continued….