「どうしてダンスの相手を選ばなかったんだ?」 学友のチャーリーに尋ねられたリチャード・クレアモントは、最上級の陶器人形のようなかんばせをひくりとも動かさず、濃淡のない声で答えた。 「では、私は誰の手を取るべきであったと?」 「いや、それは……誰か一番好きなやつとか?」 リチャードはふっと微笑み、チャーリーをどぎまぎさせた。チャーリーは「もしかしてリチャードの一番好きなやつはダンスを申し込んだやつの中にはいなくて、今の微笑みはそれを自分に伝えたいからのことで、だからひょっとしてリチャードの特別な存在は自分なのかな」と、コンマゼロ数秒で考えを巡らせ、頬を上気させた。 が。 「では、私は自習をいたしますので」 麗しい男は微笑みを浮かべたまま、夢を一秒で両断した。 立ち上がり、寮の読書室へと去っていったリチャードの背中を見送りを、チャーリーはちぇっとぼやいてから立ち去った。 男子校に
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