四月二十一日 時間がないのに「時間がある」と錯覚することが、ままある。悪い癖である。この冊子もその『錯覚』の産物で、これを書いている現在は四月二十二日である。五月の文学フリマまでちょうど一か月というタイミングだ。新刊の原稿も完成、印刷所への入稿もじきに終わるだろう。そんな折。 もう一冊イケるんじゃないか? と思ってしまったのである。 馬鹿、よせ、イケると思ってもイケない時もあるじゃないか、考え直せ、ほかいろいろな心の声が聞こえたが、本づくりの面白さを知ってしまった辻村の耳には届かない。そも、思い出してしまったのである。 去年の秋、青木祐子先生(『ヴィクトリアン・ローズテーラー』『これは経費で落ちません!』の大先生である)から「文学フリマはとても面白いのでいいですよ」とお誘いをいただいた際、「じゃあこんな本が出したいな!」と夢見ていた本の中には、読書記録があったはずだ。 私は本が好きだ。本が
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