2021年6月18日
『宝石商リチャード氏の謎鑑定 輝きのかけら』が発売となりました。
シリーズ第11作にあたります。
谷本さん、ヴィンス、ジェフリーなど、いままでサブポジションでリチャード氏や正義くんを支えてくれた人たちに焦点を当てたお話です。
おそらくは編集担当さんだと思いますが『これまでと、これからの話』というキャッチコピーを帯につけていただきました。そのものずばりだと思います。
短編が7本収録されているといいながら、今回の本は実質、中編1本+短編6本です。
1本だけとても分量の長いお話が隠れています。
「彼」のお話です。
「彼」は今まで活躍してくれたサブポジションの人々の中でも、とりわけリチャード氏と正義くんのために心をくだいてくれた人で、ついでに自分自身まで砕こうとするくらい頑張りすぎていた人だと思うのですが、どういう道筋をたどって、どういう風に歩いてきたのか、中田くんの一人称ですすむ本編の中では、なかなか紹介する機会がありませんでした。
宝石商はシリーズがすすむごとに「よかった、シリーズが終わる前にこれを書かせてもらえた」という事柄が増えてきて嬉しいのですが、今回の彼のお話も、私のなかでは「よかった、終わる前に書かせてもらえた」という内容です。
全てのことを語り尽くせるとは思わないのですが、「彼」という笑顔で傷を隠してしまう人のことを、少しでも書かせてもらえたことを、とても嬉しく思います。
それもこれもシリーズが続いてくれたおかげです。
支えてくださる皆さま、本当にありがとうございます。
twitterでも書きましたが、宝石商シリーズは「もうしばらく」続きます(とはいえいろいろ準備がありますので、次に出版される辻村七子の本は、シリーズではありません。そちらも楽しみにしていただけたらとても嬉しいです……!)
中田正義くんの、リチャード氏の、そしてその他のいろいろな人たちの、輝きのかけらのような想いの数々に、いましばらくのお付き合いをいただけたら、とても嬉しく思います。