2021年11月5日
ポプラ文庫ピュアフル(ポプラ社)から
辻村七子の本が発売されました。
「僕たちの幕が上がる」
すばらしい挿画は、TCB先生です。
演劇にかける、ふたりの青年と、彼らを取り巻く舞台の人々の物語です。
デビューさせてもらった、集英社オレンジ文庫以外の場所でご本を出させていただくのはこれが初めてになります。
辻村にお声がけをくださった編集さん、「今年は無理です…(2019~2020年ごろの話)」と一度はお伝えしたものの、2021年になってもチャンスをくださったことに感謝します。
上の一行あらすじより、もう少し細かくこの物語の解説をすると、
このお話は、二藤勝(にふじ まさる)くんというアクション俳優と、鏡谷(かがみや)カイトくんという脚本演出家の二人に焦点をあてつつ、あるお芝居をつくりあげる過程を描いたもので、いわゆる『バックステージもの』というジャンルになります。
演劇と一口にいってもさまざまですが、全てのお芝居に共通しているのは、よほど特別なものでもない限り、たった一人でお芝居をつくることはできないということです。
演じる人、演じる「もと」をつくる人、演じる人を助ける人、ハコと呼ばれるお芝居のかかる劇場にまつわる仕事をする人。
そしてもちろん、お芝居を見てくれる、お客さん。
たくさんの人の手を経て、お芝居は完成します。
たいへんざっくりしたくくりかたをすると、これはどこか、ものを書いて、編集さんにチェックしてもらい、書店さんに並べてもらって、読者さんに届けるという、作家の仕事のプロセスにも似ている気がします。
見てもらってはじめて、お芝居は「お芝居」として完成します。
読んでもらってはじめて、小説が「小説」になるように。
『僕たちの幕が上がる』には、いろいろな気持ちが入っていますが、おそらく主成分は、これまでに辻村の作品に触れてくださった皆さまへの「ありがとう」という気持ちです。さまざまな形で応援のこころを届けてくれる方がいるからこそ、こうして新しい出版社さんとお仕事をすることもかないました。
こういうことを書くのは野暮ですが、「楽しんでほしい」、という気持ちをこめて。
劇場の椅子に座り、幕が開くのを待っているあの時のような、わくわくした気持ちになってほしい、という願いをこめて。
そんな感じで書きました。
11月5日から、全国の書店さんに並んでいるはずですが、地域によってはタイムラグがあるようです。電子版も同時に配信されています。
どうぞよろしくお願いいたします。
次は12月に発売される「忘れじのK」です!
今年は5月6月、11月12月と、二か月連続発売が連続しました。
「一年間に4冊本を出す」という、今年のひそかな目標が、どうやらなんとか叶いそうで、とても嬉しいです。
これからも頑張ります!